またしても、頂点には届かなかった。
大相撲九州場所(11月13~27日)。高安が千秋楽まで優勝争いに残ったのは今年3度目だった。今回は、初めて単独トップで15日目を迎えた。
勝てば優勝が決まる本割。
今場所、抜群の威力を発揮していた立ち合いのかちあげが効かなかった。
阿炎の長い腕に押され続け、屈した。
続く決定戦では、阿炎に横に動かれて土俵に突っ伏した。首を痛め、しばらく立ち上がることができなかった。
取組後のインタビュー。高安は、自分に言い聞かせるように言葉を選び、淡々と語った。
「まただめだったんですけど、今日力を出し切れなかったということは、まだまだ弱いということ。もう一回鍛えます」
優勝を目指し続ける高安を、妻の杜(もり)このみさん(33)が支えている。
高安が大関から転落した約半年後の2020年7月に結婚。苦しみながらも努力する姿を見てきた。
結婚当初は、いつも稽古で家…