第1回コロナ禍の就活、相談相手は家族だけ 情報不足で逃した「違う未来」

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山本知佳
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 「厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが……」

 5月、エントリーシート(ES)を送った企業からメールが来た。自宅の部屋で、東京都の大学4年の女性は、読んですぐ、スマホの画面をオフにした。

 ベッドに寝転がった。

 書類選考で落ちたのは、10社連続。このまま就職が決まらなかったらどうしよう。心がざわついて、何もする気が起きなかった。

 大学1年の終わりにコロナ禍が始まり、就活を始める頃には、定期的に顔を会わせる人がいなくなっていた。

 就活の話をすると、相手との関係性が変わってしまうような気もしている。薄まった人間関係のなか、気軽に相談できる人は思いつかなかった。

 5月初旬、第1志望の公務員試験は、筆記で落ちた。併願先は考えておらず、急いで民間就職に切り替えた。興味のあった出版業界に手当たり次第にESを送った。

 結果は出ない。周りの人は、決まったんだろうか。ESの趣味特技って、どんなことを書けばいいの?

 聞きたいことは山ほどある。学部やサークル、バイト先など、知り合いはたくさんいる。

 なのに、聞ける相手が思いつかない。

コロナ禍も3年。さまざまな行動が制限されたこの間、学生たちは、どう就活に向き合ってきたのでしょうか。

コロナで変わった当たり前

 大学2年の春、新型コロナウイルスの感染拡大で、授業はすべてオンラインになった。授業中のカメラはオフでもよかったから、同級生の顔がよく分からなくなった。

 対面授業が再開したのは3年後期。1年の時とは、一変していた。

 教室では一席空けて座り、授…

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    増谷文生
    (朝日新聞論説委員=教育)
    2022年12月2日10時40分 投稿
    【解説】

     コロナ禍でキャンパスが封鎖され、多くの授業がオンラインになったことに、うまく対応できた大学生と、対応できなかった大学生とに、二極化したと言われます。その影響が、就活活動にも及んでいることがわかる記事です。  この記事には、大学の就活支援