前立腺がん、年間9万人 「精度向上」「負担減」両立の新たな検査法
寺崎省子
男性で50代から増え始める前立腺がん。年間9万人を超える人が新たに診断され、男性のがんでは最も多い。「PSA」の血液検査が早期発見に役立つとされるが、がんではない場合でも高くなる。組織をとって調べる「生検」で、精度を上げつつ、患者の負担を減らす新たな検査法も今春から公的医療保険の対象になった。(寺崎省子)
国立がん研究センターのがん情報サービスによると、2019年に新たに前立腺がんと診断された人(罹患(りかん)数)は9万4748人。前立腺がんは17年以降、男性のがんで最も多い。がん細胞が前立腺内に限られる場合は、手術で前立腺を取り除く全摘除術などで治癒できるとされている。
前立腺はクルミの実ほどの大きさ(高さ3センチ、幅4~5センチ、奥行き3~4センチ)で、膀胱(ぼうこう)の出口にあり、前立腺の中を尿道が通っている。
東邦大学医療センター佐倉病院副院長の鈴木啓悦(ひろよし)・泌尿器科教授によると、前立腺がんは50代ごろから増え始める。頻尿のほか、尿が出にくくなったり、尿や精液に血が混じったりする。骨盤など骨に転移すると腰痛などが出る。
50歳から増え始める 早期は無症状がほとんど
早期の場合は症状がないこと…