死刑囚3人「時代が変わった」 67年前に合憲判断、絞首刑の評価は
松浦祥子
日本で死刑の執行方法として採用されている絞首刑の違憲性を問う訴訟が29日、大阪地裁に起こされた。1955年の最高裁大法廷判決は「他の方法に比べて特に人道上、残虐とする理由は認められない」と合憲判断を示したが、原告側は「時代や環境が大きく変わり、評価が異なって当然だ」として、残虐な刑罰を禁じる憲法36条や国際人権規約に違反すると主張している。
原告は、大阪拘置所に収容されている死刑囚3人。
訴状によると、絞首刑は現在、首を縄でくくり、踏み板を外す形で執行されており「意識がある間は痛みや恐怖を感じ続け、遺体の損傷も激しい。執行の前も後も尊厳が傷つけられる」と主張。原告らは残虐な刑罰を科される恐怖に死刑確定から長期間さらされているとして、国を相手取り、絞首刑による執行の差し止めや計3300万円の賠償を求めた。
原告側弁護団の水谷恭史弁護士は「国は、死刑の実態を具体的に明らかにしていない。医学的な知見を示し、残虐さを立証したい」と述べ、死刑執行に関わる文書の開示も国に求めていく方針を示した。
提訴を受けて、法務省は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。(松浦祥子)
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