隣国との「緩衝材」として真価が問われる海保 生え抜き元長官の思い

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聞き手 古城博隆
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 台湾や尖閣諸島における軍事衝突を念頭に、自衛隊と海上保安庁の連携強化を求める意見が政府・与党内から出てきました。生え抜きで初めて海保長官を務めた佐藤雄二さん(68)は「今ほど海保の真価が問われている時はない」と訴えます。

 ――台湾や尖閣諸島をめぐる有事が懸念されるなか、海上保安庁に注目が集まっています。

 「海上保安官は、昔は海上自衛官とよく間違われました。一般的にはドラマや映画になった『海猿』のイメージが強いかもしれません。海猿が担う海難救助は、数ある重要な仕事の一つです。尖閣諸島を含む領海の警備や事故・災害への対応、密漁や密輸の取り締まり、海洋調査など様々な仕事があります。日本は海に助けられ、海に頼って生きる海洋国家です。エネルギーや食料の多くを海外に依存しています。EEZ(排他的経済水域)の面積は領海も合わせ世界第6位の447万平方キロ。海岸線の延長は3万5千キロで7千弱の離島があります」

 ――外国漁船による密漁の取り締まりや尖閣諸島の警備など、現場での経験が豊富ですね。

 「最前線で仕事をすると、海は境界をめぐって紛争が起きやすい場所だと実感します。EEZは領海基線から200カイリ。太平洋側はまだいいんですが、日本海側と東シナ海側は隣国との間が400カイリない。日本は中間線が境界だと考えますが、そうではない国もある。話し合いで決めればよいのですが、漁船は来るし、調査船も入ってくる。こちらは『日本のEEZだからやめなさい』と言っても、向こうにも言い分がある。中国は尖閣諸島の領有権を主張し、ロシアとは北方領土、韓国とは竹島の問題がある。北朝鮮とはそもそも国交がありません」

さとう・ゆうじ

 1954年生まれ。海上保安大学校卒。海上保安庁で警備救難部長などを経て2013年に長官。16年退任。防衛力強化に向けた政府の有識者会議に呼ばれ、海保の「平和の盾」としての役割について発言した。

 ――旧運輸省のキャリア官僚…

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