残虐でない死刑とは 140年続く絞首刑、海外では銃殺・斬首・注射

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松浦祥子
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 絞首刑による死刑執行は残虐な刑罰を禁じる憲法などに違反するとして、確定死刑囚3人が29日、国を相手取り、絞首刑による執行の差し止めなどを求める訴訟を大阪地裁に起こした。死刑の執行方法は刑法で絞首刑と定められ、明治時代以来、変わっていない。原告側は「国民は実態を知らされていない」と訴える。

 日本では江戸時代、はりつけや火あぶりなどで死刑が執行されていた。明治時代に入ると、絞首と斬首に。1873(明治6)年の太政官(だじょうかん)布告で絞首刑の方法が図解とともに示された後、82(明治15)年に絞首刑だけとなり、以後140年間変わっていない。

 国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」によると、2021年に死刑が執行されたのは日本を含め18カ国。絞首が最多の8カ国で、銃殺、致死薬の注射、斬首と続く。

 米国で死刑を存置する州では、絞首から電気処刑や致死ガスに変更した後、致死薬の注射を導入する動きも目立つ。

 愛知県長久手市議の大島令子氏は、社民党の衆院議員だった01年、執行後の死刑囚の遺体に対面した。この死刑囚の弁護士から連絡を受けて駆けつけたといい「肌には縄の跡がくっきりと付いていて、残酷さを実感した」。遺族の了解を得て写真を撮り、02年の衆院法務委員会で絞首刑の残虐性について質問した。

 当時の森山真弓法相は「最高…

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    豊秀一
    (朝日新聞編集委員=憲法、司法)
    2022年11月30日7時31分 投稿
    【視点】

     「死刑のはんこ」発言で葉梨康弘・法務大臣が事実上更迭され、死刑問題に注目が集まる中で、絞首刑の違憲性を問う訴訟が提起されました。秘密のベールに包まれて国民に知らされてこなかった絞首刑の実態を私たちが知り、死刑存廃論議を前に進めるための訴訟