重なった「つもり」が生んだ悲劇 子どもの車内取り残しを防ぐには

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田中章博
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 大阪府岸和田市で、市立保育所に登所する予定だった2歳の女児が、親の乗用車内に取り残され、熱中症で死亡した。事故の背景には「したつもり」の重なりがあった。悲しい事故に結びつく「つもり」を防ぐには、どうしたらよいのだろうか。(田中章博)

「送ったつもり」「電話したつもり」

 事故が起きたのは12日。府警によると、この日朝、父親が自家用車で認定こども園に長女と三女を預けた。次に次女を保育所に送る予定だったが帰宅、府警に「送ったつもりだった」と話したという。

 夕方、迎えに行った保育所で女児に気づいた。3列式シートの最後列におり、死因は熱中症だった。

 登所予定の女児がいないことを保育所は認識していた、と市は説明する。しかし、保護者に確認の連絡はなかった。保育士が電話しようと受話器をとった時に、別の保護者への対応が入り、「電話したつもりになっていた」という。

日常に潜むエラーのパターン

 「子どもを車に忘れることは愛情や関心の不足からではない。誰にでも起こりうること。大切なのは、エラーが起きた背景に目を向け、対策を考えることです」。ヒューマンエラーに詳しい関西大の中村隆宏教授はそう話す。

 今回の事故に限らず、エラーが起きやすいのは「日常の行動パターンに、『少しだけ』異なる要素があるとき」。普段は1カ所に行くのに、時々2カ所に行くような場合だ。1カ所で目的を終えたと錯覚し、次を忘れてしまいがちという。

 ほかの関心事がある時も、注意がそがれやすい。「人は間違える。だからこそ、『今は間違いが起こりやすい』と意識したり、間違えにくい仕組みや助け合う形を作ったりすることが必要です」

 子どもの車内取り残しを防ぐ…

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