広がるカタール批判 片ひざついたイングランド、ロゴ隠すデンマーク

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 異様な光景だった。23日、サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会の日本―ドイツの試合前。記念撮影のために整列したドイツ選手11人が皆、右手で口を覆い隠していた。

 ドイツを含む欧州7チームは今大会、同性愛が法律で禁じられているカタールに抗議の意思を示すため、「ONE LOVE」の文字と、カラフルなハート柄が描かれたキャプテンマーク(腕章)を用意していた。

 だが、国際サッカー連盟(FIFA)から「警告など競技上の処分対象にする」と通告を受け、着用を断念。口をふさぐパフォーマンスは、世界最大級のスポーツイベントを開催する国の人権状況に声を上げることを認めないFIFAを批判するものだった。

 ドイツのフリック監督は試合後、「FIFAが我々の声を封じていることを示すジェスチャーだ」と語った。ドイツ連盟はSNSに口を覆った集合写真を掲載し、「腕章の否定は、私たちの発言の否定と同じだ。私たちは、自分の立場を貫く」と投稿した。

 自身がゲイであることを公表したスペインミケル・イセタ文化・スポーツ相も腕章問題に触れ、「多数派でない性的指向の人が、世界中で同じ権利を持つことを願っている」とした。

 大会では、スタジアムなど関連施設の建設現場で6千人超の出稼ぎ労働者が死亡した、と国際人権団体などが指摘している。

 これを受け、デンマーク代表のユニホームにはロゴが見えづらいデザインが採用された。作製したスポーツメーカー「ヒュンメル」は、「何千もの命が犠牲にされた大会で目立ちたくはない」と声明を発表した。

 イングランド代表も21日、イランとの試合前、片ひざをついて抗議の意思を明らかにした。

 ただ、ピッチ上の反応は一様ではない。

 英公共放送BBCによると、オランダ代表の主将フィルヒル・ファンダイクは、「私たちはただサッカーがしたい。(『ONE LOVE』の)腕章を着用できればよかったが、警告を受ける犠牲を払ってまですることではない」と慎重な姿勢を見せた。

 人権をめぐる波紋はさらに、ピッチの外でも広がっている。

カタールの人権状況への主な抗議行動

▽デンマーク代表

 ロゴが目立たないユニホームを発表。喪に服すためとして黒ユニホームも作製

▽イングランド代表

 キックオフ前にピッチで片ひざをつき、反人種差別の意思を表明

▽オランダ代表など欧州7チーム

 「ONE LOVE」と書かれた腕章を主将が巻く予定が、FIFAの通告を受け断念

▽ドイツ代表

 日本との試合前、記念撮影で口を手でふさいでFIFAの対応を批判

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