「習1強」、影響力工作の強化にも 中国軍、非軍事的作戦の実態は

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聞き手・高田正幸
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 防衛省防衛研究所は25日に公表した「中国安全保障レポート2023」で、「認知領域とグレーゾーン事態の掌握を目指す中国」をテーマに、中国の影響力工作や海上における「グレーゾーン作戦」を取り上げました。影響力工作は宣伝工作やフェイクニュースを用いて相手国や地域の人びとの心理や認識に影響を与える行為、グレーゾーン作戦は海警船を尖閣諸島の領海に侵入させるような武力攻撃にあたらない範囲で現状変更を図る行為を指しています。

 台湾海峡などをめぐる軍事的緊張が高まる今、なぜ非軍事的なテーマを扱うのか。筆者の1人、山口信治主任研究官に聞きました。

 ――「中国安全保障レポート2023」では主に影響力工作とグレーゾーン事態を取り上げました。なぜこのテーマを選んだのでしょうか。

 昨年は中国軍の「統合作戦能力の深化」をテーマにしました。まさしく実戦に向けた軍事的な動きを取り上げた内容です。

 しかし現代の紛争は軍事的な手段だけによって行われるわけではなく、非軍事的な手段を組み合わせるようになっています。

 最近ではロシアがウクライナ侵攻で武力のほかに、情報戦、認知戦といった影響力工作を駆使したことが注目されました。

 中国もずっと海洋におけるグレーゾーン作戦、台湾に対する影響力工作といった非軍事的な活動を行っています。中国がどのような非軍事的アプローチをとっているのかを分析することが、地域の安全保障を考える上で重要になっているのです。

 ――レポートでは、近年の中国軍の組織改革よって、軍に対する党の指導が強まり、そのことが非軍事的作戦の強化にもつながっていると指摘しています。

共産党指導の強まり、非軍事的作戦の強化にも影響

 中央軍事委員会トップの主席…

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    江藤名保子
    (学習院大学法学部教授=現代中国政治)
    2022年11月30日15時43分 投稿
    【視点】

    宣伝戦や認知戦は、中国国内の世論誘導や社会科学の研究動向とも密接な関係があります。例えば「中国式民主」の考え方では、なぜ西側の民主主義より中国式の方が優れているのか、選挙制度の弊害とは何かという論点を政治学のなかで理論化しています。あるいは