中国人客はなぜ来ない? 実は「圧力鍋」状態、新たな爆買いの予感も

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聞き手・山根祐作
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 新型コロナウイルスの水際対策が日本で大幅に緩和されたことを受け、外国人観光客の姿が街に戻りつつあります。しかし、コロナ前に訪日客の3割以上を占めていた中国からの客は少ないまま。どうして、中国人客は戻ってこないのでしょうか。日本に旅行したくてもできない人たちは今どうしていて、コロナ後にはどんな旅行のトレンドが予想されるのでしょうか。東京と上海を拠点に、訪日する中国人富裕層のマーケティングやプロモーション支援を手がける「行楽ジャパン」社長の袁静さんに聞きました。

 ――日本政府観光局の発表によると、10月の訪日外国人客は49万8600人で9月の約2・4倍。このうち観光目的は約29万人で、前月比で15倍以上に伸びました。個人旅行が解禁された影響が大きいと見られます。でも、中国人観光客の出足は鈍いままです。どうしてでしょうか。

 コロナ前は、中国人も日本で個人旅行を楽しむことが中心となっていて、2019年では8割近くが個人旅行客でした。個人旅行が解禁されたのに中国人客が戻らない理由としてはまず、コロナ対策もあって、中国で海外旅行を所管する文化観光省が国民に対し、緊急の場合を除いては海外旅行に行くことを推奨していないという事情があります。

 また、個人レベルで海外旅行に行く場合に最もちゅうちょする理由として、海外から中国に帰った際の隔離があります。自宅隔離の場合、同居者も期間中は外に出られなくなるので家族全員に影響しますし、集団住宅だったら近所の人にも迷惑をかける可能性があります。

中国の20~30代はお金を持っている

 ――11月11日に中国政府がコロナ対策の緩和を発表しました。

 海外から帰国した場合の隔離期間が、これまでの集中隔離7日間+自宅隔離3日間から、5日間+3日間に短縮されました。それでも、日本に数日行ったために8日間も隔離されるというのは、やはりまだ大きなハードルとなっています。

 ただ、海外から中国に帰る際に、これまでは滞在国でのPCR検査が帰国前48時間以内、24時間以内の2回必要だったのですが、今後は1回でいいということになりました。この点については大きな負担減となります。

 海外旅行に行きたいという中国人の気持ちは高まっています。規制緩和を受けて、中国の大手旅行情報サイトでは国際線についての検索件数が急増した、と報じられました。

記事後半では、中国のインフレの中で育ち、消費を美徳と考えながらガツガツしない「草食セレブ」の実態や、円安で観光客が何千万円のマンションを買ってしまうかもしれない新「爆買い」の可能性についても語ってもらっています。

 ――いま中国で、早く日本に旅行したいと思っているのはどのような人たちが中心なのでしょうか。

 日本への個人旅行を楽しむ人たちの多くが、ミドルクラスよりも少し上の「プチ富裕層」の人たちです。

 それらの人たちの中でも、と…

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