太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及を促そうと、日本最大の発電会社JERA(ジェラ)とトヨタ自動車がタッグを組んだ。別の用途でお蔵入りになりかけた「新技術」で、突破口を開く。
伊勢湾に面したJERA四日市火力発電所(三重県四日市市)の一角。50階建てビル並みの巨大の煙突のふもとに、高さ3メートルの小さなコンテナが三つ並ぶ。
中に収納されているのは、トヨタの電気自動車(EV)の「レクサスUX300e」やハイブリッド車(HV)の「プリウス」から回収した中古の電池だ。その数は計414個になる。
電池はEVやHVの中核部品だが、再エネの普及にも欠かせない。
「電池はエネルギー基盤を支えるキーデバイス(中核部品)になる」
JERAの坂充貴・技術経営戦略部長(51)は期待する。
電気の供給量を調整
再エネの代表格の太陽光と風力は天候の影響を受けやすく、発電できる量が増減しやすい。しかし電気は使用量と供給量を一致させないと、停電などのトラブルが起きるおそれがある。
電池があれば、発電が過剰なときに電気をためたり、発電が足りないときに電気を放出したりできる。
こうして電気の供給量を調整できるというわけだ。
JERAとトヨタはEVやHVの電池を再利用し、この調整の一端を担おうとしている。
コンテナ内に集めた電池は、計1260キロワット時の電気をためられる。来年3月までに中部電力グループの送電網につなぐ予定だ。
電池の置き場はほかにもつくる方針で、自動車工場や太陽光パネル付近などが候補になりそうだ。2020年代半ばに約10万キロワット時の規模にする目標を掲げる。平均的な家庭約1万2千世帯が1日に使う電気の量に相当する。
トヨタが導入した「新技術」
似た取り組みはほかにもあるが、広がっていない。技術面で課題があったからだと、トヨタはみている。
従来の技術では、集めた電池…