マラソン中にめまい、心肺停止に 運命を託された後続ランナーの正体
岩本修弥
折り返し地点を過ぎて、23キロ付近。海沿いの道は少し上り坂になっていた。
市民ランナーの50代男性には、果てしない急坂に見えた。体がずっしり重い。足はまだ痛くないのに。
11月、3年ぶりに開催された神戸マラソン。4時間で完走した2013年以来の出場だった。
2週間前に18キロ走って以降、十分な練習をできず、ほぼぶっつけ本番で当日を迎えた。ただ過去に3度神戸マラソンを完走したこともあり、自信はあった。
サブ5(5時間切り)を目指し、序盤は1キロ6分。順調なペースできていた。
異変は20キロの手前あたりからだった。風邪のときのようなだるさが襲う。
「エネルギー切れかな」
ポケットにあったチョコレートを二つ食べた。でも全然元気が出ない。周りにどんどん抜かれていく。
目標を完走に切り替え、時折歩きながら迎えた23キロ地点。坂道を歩きながら、めまいのような立ちくらみがしたのを覚えている。
直後、意識を失って崩れ落ち…