平等院鳳凰堂、鉄の金具も金めっき? 極楽浄土の再現にこだわりか
小西良昭
平安時代の関白・藤原頼通(よりみち)が平等院(世界遺産、京都府宇治市)を開いて今年で970年。鳳凰堂(ほうおうどう)を飾った「荘厳(しょうごん)」の小さな鉄製金具が、金めっきで装飾されていた可能性があることが判明した。極楽浄土を再現しようと、細部の装飾までこだわり、極彩色の空間が徹底されていたことが見て取れるという。
東京文化財研究所の早川泰弘副所長(文化財科学)らの研究で、成果が9月、平等院の紀要に掲載された。
調査したのは、堂内の柱8本の最上部の木組みと柱の間の「なげし」から、天井に向けて突き出たL字の鉄具。長さ8センチ、高さ4センチのフック状で、床から6メートル以上の高い所にある。
蛍光X線で分析したところ、金色の本尊・阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)の顔の高さにある柱上部の鉄具から、金と水銀を検出した。金を水銀で溶かし、熱で水銀を蒸発させてめっきする古い方法「アマルガム鍍金(ときん)」の特徴を示したという。アマルガム鍍金は奈良・東大寺の大仏(青銅)を金めっきした方法で知られる。
本尊の胸の高さの、なげしの…