厳しい財政の健保組合に解散危機 「いずれ雪崩のように脱退も」
村井隼人
「自主・自立」を掲げ、企業や業種ごとに独自の運営を続けてきた健康保険組合。だが今、高齢化の加速などを背景に存続が危ぶまれる事態も生じている。
「もう『保険料を上げます』と言っても理解が得られない状況だ」
自動車販売店の社員らでつくる健康保険組合の幹部はこう話す。加入者は約5千人。高齢者の医療費に回される拠出金は年々膨らみ、保険料収入の半分以上を占めるまでになった。
そこにコロナ禍が直撃。加入者の収入が落ち込み、保険料収入も減った。それまで9・9%だった保険料率は10%半ばまで引き上げを余儀なくされた。健保組合を持たない中小企業の社員らが入る協会けんぽの平均保険料率は10%。健保組合の「解散ライン」と呼ばれるその水準は優に超えた。かつてあった積立金も底をつき、「運営は綱渡り」という。
加入者の利点なくなると…
さらにこの幹部が危機感を抱…