踏切内で動けぬ男性、響き始めた警報器 通りかかった看護師の機転

中野晃
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 【兵庫】宝塚市内の踏切内で、うつぶせで倒れている高齢の男性がいた。たまたま通りかかった市内在住の看護師、佐藤有美さん(38)が声をかけたが、男性は身動きがとれないままで、間もなく警報機が鳴り始めた。緊迫した状況で、佐藤さんの日頃の職場での経験がとっさの救出活動にいきた。

 阪急宝塚線山本駅のすぐ西側の最明寺踏切。9月26日午後2時すぎ、夜勤明けの佐藤さんが自転車で渡ろうとすると、高齢男性がうつぶせで倒れ、周囲に財布などが散らばっていた。靴がレールの溝に挟まっていた。「大丈夫ですか」と声をかけて体を起こそうとしたが、男性は「腰が痛くて動けない」と話し、伏せたままだ。

 昼間でも上下線とも10分ごとには電車が来る踏切。手助けを頼んだ若い男性が力任せに高齢男性の腕を引っ張ろうとしたが、うまくいかない。

 「カーン、カーン」と警報機の音が響き始めた。

 佐藤さんは、男性の上半身の下に腕を入れて抱き起こすよう身ぶりを交えて若者に指示した。別の通行人の女性の手も借りて片足ずつを持ち上げ、3人がかりで踏切外に運び出した。近くの交番に連絡し、男性は救急搬送された。

 佐藤さんの勤務先は市内の病院の救急外来。一刻を争う状況下、限られた人数のスタッフで役割分担を決めて患者の処置にあたる。普段の経験が危急の場での判断と対応にいきた。

 佐藤さんは10月24日、宝塚署で田村隆清署長から感謝状を贈られた。68歳という男性は特段けがもなく、当日退院したという。田村署長は「仕事柄でしょうが、きちんと指図してくれたことで救助できた」と称賛した。(中野晃)

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