農協で「ビットコインほしい」 大金の振り込みも要請、気づいた異変

中川壮
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 違法行為をしたと思い込まされ、1800万円を振り込もうとした女性。一度はだまされたと理解したが、また電話がかかってきて、振り込まなくても大丈夫か不安になった。そんな女性の心配を、長年の顔なじみの金融機関職員が振り払った。

 10月31日、愛媛県今治市北宝来町1丁目の越智今治農協本店に、市内の70代女性が「ビットコインを買いたい」と訪れた。扱っていないと伝えられると出て行ったが、すぐに戻ってきて、今度は1800万円の振り込みを要請した。怪しいと感じて理由を尋ねた金融業務部の土岐友和さん(47)に、女性は大筋でこんな話をした。

 金融庁を名乗る人物らから「あなたは違法の名義貸しをしたので、口座を凍結する」という電話を受けた。その後、弁護士を名乗る人物から「あなたを助ける。口座のお金を一時的に別の口座に預けてくれ」と電話があった――。

 土岐さんは詐欺だと説明し、女性は納得した。だが自分が違法行為をしたという思い込みは解けず、「警察だけには連絡したくない」と言って帰宅した。

 女性は翌日午後、今治市上浦町井口の同農協上浦支店を訪れた。客と職員として10年来の関係を持つ頼末絵利菜さん(43)に、女性は不安な気持ちを打ち明けた。

 マイナンバーカードの画像を送信してしまった。朝から何度も電話がかかってきている。口座は凍結されないか――。「本当に振り込まん方がいいんやろか」

 頼末さんは「おかしいけん、振り込まない方がいい」と断言。女性の了承を得て伯方署に連絡した。

 愛媛県警伯方署は24日、金融業務部と上浦支店、土岐さんと頼末さんに感謝状を贈った。土岐さんは「特別なことをしたとは思っていない」。頼末さんは「お客さんの異変に気づけるように、普段の対応から気をつけたい」と話した。

 伯方署によると、警察などに相談していったんは思いとどまっても、最終的に振り込んでしまうケースがあるという。山﨑亮副署長は「不安になったら、何度でもいいので警察に相談して欲しい」と話している。(中川壮)

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