第13回敵基地攻撃はどの時点でできる? かつて答弁した石破元防衛相に聞く

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松山尚幹 藤原慎一
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 政府の安全保障関連3文書改定をめぐり、自民、公明両党は11月30日、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有で実質合意した。論点の一つだったのが、攻撃可能なタイミングだ。政府は「相手が日本に対する武力攻撃に着手した時点」としているが、相手が着手していない段階で攻撃すれば、国際法違反に問われる「先制攻撃」になりかねない。一方、具体的に示せば、「手の内を明かすことになる」(自民幹部)。与党の実務者協議では、「個別具体的に判断する」ことで落ち着いた。

 こうした中、今も着手の議論で引き合いに出されるのが、2003年の石破茂防衛庁長官(当時)による答弁だ。石破氏は北朝鮮が弾道ミサイル発射する手順を詳しく説いて「着手」の事例を示したが、今も通用するのか。防衛政策通の一人として、現在の安保3文書改定をどうみているのか。

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 岸田政権は年内に外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など三つの文書を改定します。今回の改定は日本の安全保障の大転換になるかもしれません。改定に関わる関係者、有識者に様々な視点から聞きました。

 ――自民党は敵基地攻撃能力を「反撃能力」と改称して保有するよう政府に提言しました。

 「(敵基地攻撃能力は)あくまで自衛権の行使であって、先制攻撃はやらないということを強調するために反撃能力と言っています。ですから一般的には、第1撃を受けて反撃することが前提です。従来、被害が生じてからでは遅すぎる。攻撃の恐れがある段階では早すぎる。だから着手の時点だ、という理屈をずっと展開してきたわけです」

 ――その「着手」について、石破さんは03年の衆院予算委員会で「東京を火の海にするぞと言ってミサイルを屹立(きつりつ)させ、燃料を注入し始め、不可逆的になった場合は一種の着手」と述べました。

 「あの時点では、そういう判断は成り立ちました。当時は液体燃料が中心で、ミサイルに燃料を注入するのに2時間から3時間はかかった。(車両型の)移動式発射台も多くはなかった。しかし、今は(事前にセット可能な)固体燃料が中心で、どこから撃つかも分からず、こういう理論は成り立たなくなったと思います」

 ――今では着手の時点で判断…

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