第7回「日本と同じ道歩むかも」バブル予測した専門家が読み解く中国の未来

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聞き手・西山明宏
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 「中国の不動産でバブルが起きている。近く様々な問題を引き起こすだろう」。6年前に中国の不動産市場について警鐘を鳴らしていた専門家がいます。上海交通大学上海高級金融学院副院長の朱寧教授(金融学)。中国の不動産バブルとはどういう状況なのでしょうか。話を聞いてみました。

 ――2016年の著書「中国バブルはなぜつぶれないのか(原題・剛性泡沫)」で、現在の不動産市場が抱える問題をすでに指摘していました。

 現在生じている多くの現象が当時予測していたものと近い。一つ目は住宅価格がバブルを起こしているという点。大都市では住民の平均年収の40倍を超えた。他の国際都市と比べても、あまりにも高い。金融当局トップは昨年、不動産業界の最大の問題は資産バブルだと話していたが、著書ですでに指摘している。

 二つ目は仮にバブルの処理がうまくできなければ、経済に打撃を与え、金融システムに大きなリスクをもたらすという点だ。(中国政府の規制により、経営危機に陥った)恒大集団だけでなく、その他の不動産会社も次々にデフォルト(債務不履行)になった。いま起きている金融や経済に関する問題は、こうしたことと関連している。

 三つ目は、住宅価格が仮に下がれば、(企業が経営難に陥り)工事が完成できない物件が相次ぎ、さらに市場の値上がり期待に大きく影響するだろうという点だ。ただ、実際は予想を超え、すでに多くの地方都市で2~3割、またはそれ以上に住宅価格が下がった。このままの状態が続けば住宅価格の暴落が起きてしまうかもしれないと懸念している。

「一部の地方都市ではバブルはすでに崩壊した」と指摘する朱寧教授。少子高齢化が急速に進む現在の中国と日本には、複数の共通点があるといいます。

現状変えるには「時間も力強さも足りない」

 ――中国政府は20年に不動産会社へ財務の改善を求める「三つのレッドライン」と呼ばれる規制を導入し、市場は大きく停滞しました。この政策は正しかったのでしょうか。

 政府がこれまでとってきた政…

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