閉幕したCOP27、温室ガス削減加速は難航 問われる日本の本気度
記者解説 科学みらい部・桜井林太郎、関根慎一
国連気候変動枠組み条約の第27回締約国会議(COP27)が、11月6日から20日までエジプトのシャルムエルシェイクで開かれた。欧州連合(EU)を中心に先進国は、温室効果ガスの排出削減を加速させることに交渉の主眼を置いた。排出量が急増している中国やインドなどの新興国を巻き込むねらいだったが、失敗に終わった。
昨年のCOP26では、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えることが事実上の世界目標になった。2025年には世界全体の排出量を頭打ちにする必要があるとされる。今回、経済成長を重視する中国やインドなどは、1・5度は努力目標にすぎないと主張。目標が合意文書から消えることも懸念されるなか、なんとか維持できたが、排出削減を強化することは難しかった。
EUなどは昨年合意した「石炭火力の段階的削減」から一歩進め、石油や天然ガスも含む「全化石燃料の段階的削減」を提案。欧州のほか米国やオーストラリアなど約80カ国が賛同したが、産油国の強い反対で見送られた。
今回の合意文書には、温室効果ガスを削減する重要な手段として再生可能エネルギーとともに「低排出エネルギー(low-emission energy)」が明記された。定義が不明確なため、石炭や石油より二酸化炭素(CO2)の排出が少ない天然ガスなどが「抜け道」として長く使い続けられるおそれがある。
会議では排出削減に消極的とされるサウジアラビアなど産油国の動きが目立った。国際NGOによると、会議には化石燃料産業の幹部やロビイストら600人以上が参加し、石油や天然ガスの必要性を訴えた。来年のCOP28の議長国であるアラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領は「世界が石油とガスを必要とする限り供給し続ける」と話す。
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