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薬剤耐性菌、高齢者施設で要注意 広島大など調査

編集委員・副島英樹
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 抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」の蔓延(まんえん)が世界的な課題となっている。広島大学国立感染症研究所が、高齢者施設の入所者について、薬剤耐性菌と緑膿(りょくのう)菌の保菌調査をしたところ、直接胃に栄養を注入する「胃ろう」をしている入所者の保菌率が高く、緑膿菌の保菌は死亡率とも関連していることがわかった。

 広島大学病院感染症科の大毛(おおげ)宏喜教授と同大大学院医系科学研究科の吉川峰加准教授、国立感染研の梶原俊毅・薬剤耐性研究センター主任研究官が10月25日の記者会見で発表した。

 保菌調査は、広島県内の長期療養施設6カ所(特別養護老人ホーム3カ所、介護老人保健施設3カ所)の入所者ら計178人を対象に、口腔(こうくう)と直腸について調べ、1年間経過観察した。

 その結果、便の薬剤耐性菌の保菌割合は介護施設では28・4%、特養では51・4%に上った。厚生労働省が全国2千超の病院で調査した際の28・3%を、特養は大幅に上回った形だ。

 胃ろうの有無でみると、胃ろうの無い人では、便の薬剤耐性菌の検出は39・8%、緑膿菌は0・8%だった。これに対し、有る人では薬剤耐性菌は約2倍の78・3%に達したほか、緑膿菌は21・7%と大きく差が開く結果となった。経過観察では、緑膿菌が検出された入所者は生存率が低下する傾向も明らかになった。

 医療保険の対象である病院では胃ろう用のチューブなどは使い捨てだが、財源が抑えられた介護保険が対象となる高齢者施設では、洗って再利用しなければならない事情がある。緑膿菌や薬剤耐性菌で汚染されたシンクでチューブを洗えば、菌が付着する恐れが高まる。保菌者が高齢者施設から転院した場合に、転院先の病院で感染が広がる危険性も指摘されている。

 大毛教授は「今は使い捨てにしたくてもできない事情があるが、将来的には財源(措置)が必要。どの程度の財源が要るか、根拠を示すのが課題だ。高齢化が進む中、この研究成果を生かしたい」と話した。(編集委員・副島英樹)

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