第14回真山仁さんが語る セカオワと本当のことを言える勇気と国を守ること

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聞き手・上地一姫
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 ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、安全保障について考えようという機運が高まっている。私たちは安全保障にどう向き合うのか。政府は国民にどう説明するべきなのか。長編ノンフィクション「ロッキード」で日米関係を追い、沖縄を舞台にした小説「墜落」では日本の安全保障問題をえぐりだした、小説家の真山仁さんに聞いた。

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岸田政権は年内に外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など三つの文書を改定します。今回の改定は日本の安全保障の大転換になるかもしれません。改定に関わる関係者、有識者に様々な視点から聞きました。

振り切った設定で伝えたかったこと

 ――新刊「墜落」では、自衛隊機が民間地に墜落して沖縄県民が亡くなります。なぜこのテーマを選んだのですか。

 「米軍の問題はこれまでいろいろな人が書いているが、米国製の自衛隊機が落ちたらどうなるか、と考えた。小説なのでどんどん究極に。人が亡くなるまで振り切ると、初めてなぜ一つの島に米軍と自衛隊が両方いるのかを考えるようになる。多くの人は米軍が日本を守っていると思っている。大義名分はそうだが、少し調べればそんな単純なことではないとわかる。それを読者に伝えるには振り切った設定が必要だと考えた。国を守るとはなにかということまで冷静に考えてほしいと思った。平和とは何ですか、と若い人に聞くと正しい答えはまず返ってこない。『戦争がない』という答えが正しいはずです」

「中二病」が突きつける現実

 ――戦争を意識せずに暮らせているからでしょうか。

 「4人組バンド『SEKAI NO OWARI』の『LOVE the warz』という曲に『僕らの平和を守るため 僕らの世代が戦争を起こします』という歌詞がある。あれを多くの大人は『中二病』の歌詞と呼んでいるが、私はするどい歌詞だと思った。平和とは何かを言い当てている」

 ――戦争によって得られる平和もある、と。

 「平和ボケとは何かというと…

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