W杯ゴミ拾いの「ちょんまげ隊長」、500人から突然のアリガトウ
サッカー日本代表をちょんまげ姿で応援し、「ちょんまげ隊長」の愛称で知られる名物サポーターが、ワールドカップ(W杯)カタール大会にも姿を見せている。この男性は、千葉県柏市在住で、松戸市で靴屋を営む角田寛和さん(60)。現地の様子をオンライン取材で聞いた。
11月23日、日本が強豪ドイツを2―1で下した歴史的な一戦。試合後、ちょんまげ姿のまま会場を後にしようとする角田さんたちを、大勢の大会ボランティアが「帰るな」「座ってて」と制止した。
「目立ちすぎたか」「何かの説教か?」。そんな不安がよぎる間にも、大会ボランティアは集まり続け、約500人に達した。
メガホンを持つ男性が英語でこう話しかけてきた。「ここにいる日本人サポーターに感謝を伝えたい」。そして、日本語で「ありがとうございました」と続けた。
開幕戦のカタール対エクアドル戦の後、会場にいた角田さんら約30人は、散乱するペットボトルなどが気になり、拾っていた。ちょんまげ姿などでゴミ拾いをする日本人の様子を中東の人気動画配信者がネット上で紹介し、話題になっていたらしい。突然の声がけは、このゴミ拾いに対するお礼だった。
角田さんたちは約500人のボランティアとともに写真に納まった。2008年の北京五輪から五輪とW杯の現地観戦をしてきたが、「人生で後にも先にもないと思う」「試合後に奇跡が起こった」。後日、角田さんたち約30人は大会組織委員会からも表彰された。
表彰されたのは、角田さんがまとめ役を務める「トモにカタールへ」のメンバーら。角田さんは東日本大震災を機にボランティア活動を始め、JリーグやW杯に被災地の子どもを招く活動を続けており、「トモにカタールへ」もその活動の一環だった。
カタールには、寄付金約400万円をもとに、宮城県女川町、愛媛県宇和島市、熊本県球磨村など五つの被災地から計8人の高校生、大学生を招待した。現地の大学生とも交流。8人は日本のドイツ戦、コスタリカ戦を観戦して帰国した。(鳥尾祐太)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。