羽田空港の新飛行ルート、主張の違い鮮明に 品川区長選の再選挙

細沢礼輝
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 東京都品川区長選の再選挙で、区の上空を通る羽田空港新飛行ルートをめぐる候補者間の立場の違いが、10月の前回選挙より鮮明になっている。法定得票数に届く候補がいないという前回の選挙結果を踏まえ、主張をより明確にした候補がいるためだ。

 新飛行ルートは2020年3月に運用が始まった。ただ国土交通省は、ルートの固定化を避ける目的で同6月に有識者会議を設け、別ルートの設定も念頭に置いた、新たな管制技術などの検討を続けている。

 品川区議会は19年、ルートの再考や固定化回避への取り組みを国に求める決議を全会一致で可決した。一方で20年12月には、住民団体が直接請求した新ルートの賛否を問う住民投票の条例案を否決。採決に際しては、浜野健区長(当時)が「二者択一の投票は、区民の意思を反映する方法として適当ではない」などとして、住民投票に反対する意見を表明した経緯がある。

 そして今回の再選挙。

 前回選挙から新ルートの「撤回を国に求める」と訴えているのは、村川浩一氏と西本貴子氏。村川氏は「新ルートは前区長が国の言いなりになって推進したものだ。国交省に撤回を申し入れる」。西本氏は「区民の賛否をはっきりと国に示す必要がある。実態調査で区民の声を集約し、国に撤回を求める」と訴える。

 石田秀男氏は「新ルートの固定化回避」を引き続き主張する。19年の決議を区議として主導したとの立場で、多額の経費などを理由に住民投票には消極的だ。

 一方、前回は「住民投票をする」と掲げた山本康行氏は今回、「反対の方々の受け皿になる」と訴える。出陣式では、新ルート反対派の団体代表が演説した。

 森沢恭子氏は今回も「区民アンケートの実施」を主張。ただ「二者択一ではない」「費用が約半分」などと住民投票との違いを訴える資料を新たに用意した。

 今回初めて立候補した石田慎吾氏は11月24日の出馬会見で、「新ルートは見直すべきだ」と説明した。関係する他の区と連携して、解決を図る考えを述べた。

 ある陣営幹部は「新ルートについては『仕方がない』とは思っても、歓迎する区民はいない。飛行ルートをどうするかは国の責任になるが、選挙戦で注目されている以上、姿勢を示す必要がある」と話す。

 ルート下にある自治体の一つに当たる品川区で、様々な意見が出ていることについて、国交省首都圏空港課の担当者は「新ルート反対を含め、関係自治体に様々な意見があることは承知している。騒音軽減など対策の検討を続けている」と話している。(細沢礼輝)

■羽田空港新飛行ルートとは

 新宿、渋谷、品川などの各区上空を通って着陸するルート。国際線の発着回数を増やすために2020年3月から運用が始まった。このルートを飛ぶのは南風が吹く夕方の最大3時間。品川区のJR大井町駅付近では、航空機が高さ約300メートルの上空を通る。最大で約76~80デシベルの騒音が出るとされる。「騒々しい街頭」と同程度に当たるという。

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