「盗まれた黄色」取り戻せ W杯ブラジル代表に懸かるもう一つの期待

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サンパウロ=軽部理人
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 サッカーのブラジル代表のユニホームの色は?

 サッカーファンでなくとも「黄色」と答えられる人は多いだろう。

 ワールドカップ(W杯)で最多の5回の優勝を誇る代表チームは、いま世界を熱気に包むカタール大会で決勝トーナメント進出を早々に果たすなど、その実力を見せつけている。次の対戦相手は韓国代表、そして勝ち上がり次第では、準々決勝で日本代表との戦いもあり得る。

 ブラジルでは、試合の日は企業や学校が休みになるところもあり、国民の多くが自宅やバーなどで「セレソン」と呼ばれる代表チームのシャツを着て、応援する。

 だが、街が黄色に染まるはずの光景に近年、異変が起きている。

 代表ファン歴20年のマリア・ミリトンさん(32)はこう言う。「セレソンは大好きだけど、黄色のシャツは二度と着ません」

 セレソンの黄色は、人々にとって特別なものであるはず。このような話を聞くこと自体が驚きだ。

 W杯開催国だった1950年、白いシャツで最終戦に挑み、終盤の逆転でウルグアイに敗れて初優勝を逃したセレソン。競技場の名前から「マラカナンの悲劇」と呼ばれるこの試合では、ショックから心臓まひで複数の観客が亡くなり、「愛国心が足りなかった」との批判もわき起こった。

 改められたユニホームこそが、国旗をイメージした緑の襟と袖、青いズボン、そして黄色のシャツ。そんな歴史を背負ったシャツなのだ。

 この異変に私が最初に気がついたのは、4月に赴任して早々の休日だった。

代表シャツの集団、実は…

 サンパウロ中心部の歩行者天国になった大通りに、黄色の代表シャツを着ている50人ほどの一団がいた。

 突然、その中の一人が拡声機…

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