バイデン氏、「プーチン氏と話す準備はある」 NATOの結束も強調

ワシントン=下司佳代子 榊原謙
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 バイデン米大統領は1日、国賓として招いたフランスのマクロン大統領と会談した。バイデン氏ウクライナ情勢をめぐり、ロシアのプーチン大統領と「話す準備はある」と発言。米仏首脳は、妥協せずウクライナ支援を続ける点で一致しつつ、ロシアとの対話も排除しない姿勢で足並みをそろえ、結束を演出した。

 「戦争を終わらせる方法は一つ。プーチン氏がウクライナから撤退することだ」。ホワイトハウスでマクロン氏と会談した後、バイデン氏は、共同記者会見で強調した。撤退の意向は今のところないようだ、との見方を示した上で「プーチン氏に連絡をとる予定は当面ない」と説明。ただ、「慎重に言葉を選びたい」と前置きした上で、「話す準備はある」と語った。

 バイデン氏は、プーチン氏と「話す」前提となる条件についても入念に説明した。「彼はまだそうしていないが、実は戦争を終わらせる方法を探しているのだとすれば、フランスや北大西洋条約機構(NATO)の友邦と相談したうえで、喜んでプーチン氏と話し合い、何を望んでいるのか確認するつもりだ」。対話を進めるとすればNATO加盟国での議論を経た後になると繰り返し、米国の独断専行は避けると強調した。

 バイデン氏は従来、ロシアとの交渉には消極的だった。米国として譲歩する姿勢を示さないまま交渉に言及した背景には、戦況が膠着(こうちゃく)し、劣勢が続くロシアに揺さぶりをかける狙いもうかがえる。一方、マクロン氏は、ウクライナ側にもロシアとの交渉を促すなど対話を重視してきた。1日の米ABCの番組でも「交渉のテーブルに戻ることはまだ可能だ」と語り、プーチン氏と数日以内に協議する考えを示していた。

 ただ、そのマクロン氏も共同会見では「ウクライナに受け入れられない妥協を促すことは決してない」と断言。「持続的な平和を望むなら、ウクライナの領土や将来をめぐる交渉の時期や条件については、ウクライナ国民の決断を尊重しなければならない」と述べ、米国と足並みをそろえた。

 バイデン氏は、大統領就任後、初めて迎える国賓としてマクロン氏を選んだ。中国との中長期的な覇権争いに直面しつつ、ロシアによる喫緊の脅威にも対応しなければならず、NATO加盟国間で協調する必要性はより高まっている。強い指導力を発揮したドイツのメルケル前首相が退任し、米国にとって、マクロン氏の重要性は増している。

 マクロン氏にとっても、格好の政治的アピールの舞台となった。米仏の共同声明では、ロシアの戦争犯罪を追及する決意を改めて表明。インド太平洋地域への関与を強め、中国に協調して対応することや、宇宙協力の強化など、幅広い連携についても明記した。

 コロナ危機からウクライナ侵攻を経て、各国ともエネルギーや食料価格の上昇に悩むなか、国内重視の産業政策を進めるバイデン政権に対しては、フランスなど欧州連合(EU)側に不満もくすぶる。バイデン政権が8月に成立させた「インフレ抑制法」では、北米で組み立てた電気自動車(EV)以外は購入時の減税措置を受けられないなどの規定があり、マクロン氏も強く反発してきた。

 米仏首脳会談ではこの問題も議論したが、対立を際立たせることはなかった。バイデン氏は「欧州諸国が(米国市場やその製品供給網に)参入しやすくなるよう、微調整をすることは可能だ」と述べ、EU側と協議を続ける意向を示した。(ワシントン=下司佳代子 榊原謙)

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