奇天烈番組「タローマン」監督を直撃 シン・ウルトラマンの逆を行く

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太田啓之
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 深夜にテレビをぼんやり眺めていたら、いきなり流れてきた「ばーくはつだ ばーくはつだ ばーくはつだ 芸術だあ!」という能天気な歌と、「太陽の塔」に似た変な仮面が大写しになった画面にのけぞった。NHKEテレが7月に初放映した1話5分の「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」。でたらめな巨人タローマンと、岡本太郎の作品をそのままキャラクター化した「奇獣」が戦ったり遊んだり、という奇天烈(きてれつ)な番組だが、放映後の人気はうなぎ登り。3日午後4時20分からは、NHK総合で特別番組「タローマンヒストリア」も放映される勢いだ。個人的にはダントツで「2022年ベストコンテンツ賞」に輝くこの番組の脚本・監督を務めた藤井亮さんを直撃し、「タローマン誕生秘話」をうかがった。

 ――「タローマン」を見て「岡本太郎」と「特撮」が違和感なく溶け合い、抜群の相乗効果を発揮していることに驚かされました。

 岡本太郎さんは「べらぼう」という言葉が大好きでした。僕も大阪に住んで「太陽の塔」を目の当たりにし、「べらぼう」としか言いようのない巨大で変なものが実在することに圧倒されました。NHKから「太郎さんの言葉と作品を伝える番組をつくりたい」という相談を受けた際、「あのスケールの大きさと衝撃を表現するには、巨大なものが暴れる特撮映像が一番いいのでは」と思いついたんです。

 太陽の塔も「怪獣的」とか「ウルトラマンに似ている」とか言われます。実はみんなが薄々「岡本太郎の作品って特撮的では」と感じていたのではないでしょうか。

 ――番組自体も岡本太郎の口癖だった「なんだこれは!」と叫びたくなるインパクトですね。

 そこは一番気を配ったところです。太郎さんに気を使い過ぎて表現がおとなしくなってしまっては、ご本人が決して喜ばないでしょうから。タローマンのデザインも「若い太陽の塔」や「太陽の塔」など、太郎さんの作品を組み合わせてつくっています。劇中ではあえて「ヒーロー」と呼ばず「巨人」と称しました。太郎さんの思想を体現した巨大生物ですが、決して正義のために戦っているわけではないので。

 ――確かに、最終回では××まで破壊してしまいますからね(苦笑)。「タローマン」を見ていると、まるでモーツァルトのシンフォニーのように、作品のあらゆる要素があるべき場所にぴったりとはまっている印象を受けます。「モーツァルトが作曲する時のように、何の苦労もなくするするとできあがったのでは」という印象を持ったのですが。

 実際はその逆でした。「岡本作品を特撮映像化する」という基本コンセプトは割とすんなりできたのですが、そこからが苦しかった。

記事の後半では、手作り感満載の「タローマン」特撮を巡るエピソードや、映画「シン・ウルトラマン」との意外な対応関係、さらには「タローマン、幻の前番組(?)」を紹介します

 「岡本作品を題材に、怪獣も…

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