アナザーノート 藤田直央編集委員
こんにちは。藤田直央です。メンバーが抱える問題が次々と発覚し、組織への信頼が揺らいでいるのに、対応は後手後手。戦後日本で政権を長く担ってきた自民党が、立て続けの閣僚の辞任などひどい有り様です。
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その発端が最近、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と国会議員たちとの広く深い関係が改めて問われたことです。
原因はさまざまで、根深そうです。こんな時は先達の知恵を借りて整理整頓し、そこから考えたい。著書「自由民主党の誕生 総裁公選と組織政党論」があり、自民党の昨今に詳しい小宮京(ひとし)・青山学院大学教授(日本現代史)と探りました。
両者をつないだ「大義名分」
自民党と旧統一教会の縁は、1960年に首相を辞めても影響力を保った岸信介氏にさかのぼります。80年代に教団の霊感商法が社会問題になった後も、教団による選挙支援と、議員による教団の活動への賛同などの形で自民党との関係は保たれました。
そこには両者をつなぐ大義名分がありました。反共産主義を意味する「反共」です。まず自民党について、小宮さんはこう話します。
「自民党は安倍政権で右傾化したと言われますが、『反共』という意味では、保守二大政党が合同し55年に発足した頃からの原点なのです。岸の流れをくむ派閥の清和会(今の安倍派)だけでなく、宏池会(今の岸田派)などリベラルと呼ばれる勢力も反共で、どこまで打ち出すかだけの違いです」
「米ソが対立した冷戦が89年に終わっても、東アジアでは中国や北朝鮮ががっつり残りました。日本では、ふだんの生活で共産主義の跋扈(ばっこ)を感じることはなくても『反共』はお題目として生き残り、それを唱える団体と自民党は今もつながり得ます」
では、自民党と旧統一教会の関係について具体的にはどうか。小宮さんは、反共に加え、「昔からのつきあいだから」つながり続けたというシンプルな側面を指摘します。
「関係を持った議員にはベテ…
- 【解説】
書きました。編集委員という立場でインタビューをするときに気をつけているのは、もちろんお話は謙虚に伺うのですが、お説拝聴ではなくこちらの取材経験や考えを質問でぶつけ、やり取りを発展させた上で記事として示すことです。 とりわけ政治というテー