茶色いエノキタケは「野生風」? キノコ採りへの憧れと山の恵み

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記者コラム 「多事奏論」 編集委員・長沢美津子

 身近な食品の値上がりが続いて、日々の食卓がグローバル化した世界に組み込まれていることを思い知る。勝手なもので、「買う」以外に食べものを手にする手段を持たない心細さをおぼえる。キノコ採りの話を聞きながら憧れを感じたのは、そこに身近な自然から食を得る確かさ、仲間と恵みを分かち合うというローカルな食の世界が、脈々と続いていたからだ。

 斎藤暖生(はるお)さん(44)は、富士山のふもとの山中湖にある「東京大学富士癒(いや)しの森研究所」の所長で、森林をめぐる文化を研究している。演習林でもあるカラマツ林は、地域の人の協力で居心地よく整えられている。ハナイグチという、ぬめりがあって汁ものにおいしいキノコが採れるそうだ。

 「野生の植物やキノコの利用は、もっとも原始的な人と自然とのつながり方だと考えています」。日本は森林の国だ。狩猟と採集の時代から、春の山菜も秋のキノコも大切に利用されてきた。その地域だけで通じる呼び名もとても多い。

 「東北の集落で記録をお願いすると、採ってくる山のものの半分以上は家族以外への『おすそ分け』に回っていました」と斎藤さん。毎年のニュースはもっぱらマツタケの動向で、部外者の目は換金性にいきがちだが、それは一面のことらしい。

 キノコの秋に地域の人の心は…

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