エネルギーの地産地消などをうたって立ち上げられた「地域新電力」が、電力価格高騰で苦境に陥っている。朝日新聞などが調査したところ、回答した72社のうち9割近くが経営に影響があるとし、8割以上は新規の契約を停止していた。自前の電源の割合がまだ低く、電力の調達を卸市場に頼るため、仕入れ価格が販売価格を上回る「逆ざや」が起きている。事業の停止や撤退も懸念され、地域振興や自治体の脱炭素化への取り組みに逆風となる。
調査は、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組む環境NGOでつくる「パワーシフト・キャンペーン」と朝日新聞が、今年8~10月に行った。
2016年の電力小売り全面自由化により、各地域の大手電力10社以外も、家庭や企業に電力が販売できるようになった。これ以降、他業種から参入する「新電力」が増えた。資源エネルギー庁によると、9月末時点で732社が登録する。
そのうち、地域振興や脱炭素化の担い手として期待される地域新電力への影響を探ろうと調査を行った。自治体が出資したり、自治体と協定を結んだりした89社に質問し、72社から回答(回答率81%)を得た。
回答した9割以上は、設立の目的に、エネルギーの地産地消を挙げており、大半が気候変動対策や再エネの拡大、地域行政サービスの充実、雇用拡大を掲げる。
だが、電力価格の高騰でその基盤が揺らいでいる。
地域新電力はほかの新電力と…