エネルギー補助金、国民は助からない?見つめたい日本経済の真の実力
電気やガスなどエネルギー分野の補助に計6兆円超をつぎ込み、一般会計の歳出が約29兆円となる巨額の補正予算が成立した。多くを国債発行で賄い、目玉のエネルギー補助金は所得制限がないのが特徴だ。野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは「経済対策としての価値も小さく、格差を縮小するという社会政策としての価値も少ない」と疑問を投げかける。
――今回の補正予算はガソリン・電気・ガスといったエネルギー分野に計6兆円超をつぎ込むなど規模が巨大です。
「物価高が景気の大きな懸念材料になっています。それに政府が対応するというのはどの国でも行われていますし、比較的自然なことです。電気やガスにしても、やらないよりは価格抑制ができるでしょう。ですが、効果は一時的なものでしかありません」
――では、政府はどういった政策を打つべきですか。
「実は経済対策にも少しは入っていますし、岸田政権が掲げる『新しい資本主義』の一つの柱でもあるのですが、構造的に賃金が上昇するような仕組みや環境を整えるというのが正しいのだと思います。賃金が上がれば、物価上昇が起こってもそれに対する抵抗力が高まります」
この後、木内さんはエネルギーの補助金の問題点について指摘したうえで、政府による日本経済の現状認識について疑問をなげかけます。
「幅広く集め、幅広くばらまき」
――一方で、足元の物価上昇…