優先すべきは球児の健康 延長10回からのタイブレークは自然な流れ

山口裕起
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 「延長十三回から」で定着してきた高校野球のタイブレーク制度が来春以降、十回からに変わる。

 投手の負担軽減など選手の健康問題をさらに考慮し、日本高校野球連盟が2日の理事会で変更を決めた。

 今後、タイブレークにもつれるケースは増えることが予想される。

賛否、分かれるが

 延長突入と同時に無死一、二塁からの攻防が始まることになる。

 指導者の賛否は分かれるが、1週間500球以内の投球数制限の導入や夏の全国選手権での休養日の増設など、選手の健康を最優先に大会運営やルールを考えていくなかで、今回の決定はごく自然な流れと言える。

 タイブレークが導入された2018年春以降、22年夏までの甲子園での計8大会(第92回選抜、第102回全国選手権はコロナ禍で中止)で延長戦は計39試合あった。

 そのうち、タイブレークまでもつれたのは7試合にとどまった。

 本来の目的である選手の負担軽減のためには、十三回からの実施では遅いとの判断を背景に、日本高野連は数年前から各地方高野連と議論を重ねてきたという。

 「無死走者なし」で始まる延長回がなくなる今回の変更を、指導者はどう受け止めるのか。

 今春の選抜1回戦でタイブレークを経験した山梨学院の吉田洸二監督(53)は「どうせやるなら十回からの方がすっきりしていいなと思っていた」と歓迎する。

 「球数制限もある中で、十三回からでは投手はかなり疲弊する。選手の負担は大きかった」

 19年の明治神宮大会でタイブレークを戦った明豊(大分)の川崎絢平監督(40)は戦術への影響を指摘する。「(走者を置く)タイブレークは実力だけではない外的要因が加わる。なんとか力勝負の九回までに終わらせたい」。

 別のベテラン監督からは「九回までの流れがぱたっと止まってしまう。十回からは早すぎる」といった声も聞かれた。

 日本高野連の小倉好正事務局長は導入から4年が経ったタイブレークについて「反対の声はだんだんなくなってきていると感じている」としたうえで、「今回の変更にも最終的に(会議の中で)ほぼ全員が賛同してくれた」と明かした。

 今夏の全国選手権で新型コロナの集団感染が出た際は、抽選会で配慮したり、選手の大幅な入れ替えを認めたりするなど、工夫して試合を行った。

 いま優先すべきこと、大事にすべきことは何か。

 タイブレークの見直しでも、それは明確だったと思う。(山口裕起)

2018年以降の甲子園の延長とタイブレーク(TB)決着の試合数

 90回選抜(18年)延長=6試合、10~12回で決着=6試合 TB決着=0試合/100回選手権(18年)延長=4、10~12回で決着=2、TB決着=2

 91回選抜 延長=4、10~12回で決着=4、TB決着=0/101回選手権 延長=7、10~12回で決着=6、TB決着=1

 93回選抜 延長=7、10~12回で決着=6、TB決着=1/103回選手権 延長=2、10~12回で決着=2、TB決着=0

 94回選抜 延長=7、10~12回で決着=4、TB決着=3/104回選手権 延長=2、10~12回で決着=2、TB決着=0

 合計 延長=39試合、10~12回で決着=32試合、TB決着=7

(92回選抜と102回選手権はコロナ禍で中止)

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