男性トイレにサニタリーボックス

永井啓子
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 自治体の庁舎や公共施設の男性用トイレに、サニタリーボックス(汚物入れ)を設置する動きが広がっている。前立腺がんなどの病気治療の影響や、加齢により尿漏れパッドなどを使う人、性的少数者らに配慮した環境作りで、府内では、綾部市亀岡市、久御山町などが取り組んでいる。

 綾部市では、10月中旬、来庁者がよく利用する市役所1階の男性用トイレなど6カ所にサニタリーボックスを置いた。トイレの入り口や、個室の扉には「サニタリーボックスを設置しています」と、貼り紙をした。

 市議会で設置を求める声が上がったという。総務課の担当者は、「前立腺がんや、膀胱(ぼうこう)がんなどの病気の影響でパッドを使う人や、トランスジェンダーの人が安心してトイレを利用できるよう対応した」と話す。

 久御山町では、来庁者の要望を受け、6月上旬に役場内の個室トイレなど32カ所に置いた。総合体育館などの公共施設にも設置している。

 京丹波町は7月下旬、来庁者が使う2カ所のトイレに設置した。個室内におむつが捨てられていたことが複数回あったことなどから始めた対応で、頻繁ではないが、利用されているという。

 宇治市や亀岡市も、11月下旬、庁舎内の個室トイレに設置した。宇治市は庁舎内にある全ての個室トイレ48カ所に設置。来庁者が多く利用するフロアには、大きめの箱を置いた。亀岡市は市民が使う19カ所の個室に設置したほか、市立病院の外来フロアなどにも設置したという。他に、京都市男女共同参画センター・ウィングス京都(同市中京区)にも6月から設置されている。

 一般社団法人日本トイレ協会によると、11月9日時点で、全国で230を超える都道府県と市区町村の庁舎(一部は図書館や体育館などの関連施設も含む)で、設置済みだという。

 同協会は、今年6~9月にアンケートを実施。尿漏れパッドやおむつなどを使う男性67人、女性89人の計156人に、困りごとを尋ねたところ、男性の4割以上が「捨てる場所がない」ことを挙げた。サニタリーボックスに最も求める機能は、男性は「大きさ」がトップだった。

 同協会運営委員の砂岡豊彦さん(68)は、40代の後半から数年間、変形性股関節症の痛み止めとして使った座薬が漏れ出る不安から、女性用の生理ナプキンをあてていた経験がある。多機能トイレ以外に捨てる場所がなく、ポリ袋に入れて持ち帰っていたという。「京都は観光の街。設置を進めてアピールすれば、多くの人が安心して訪れることができる」と話している。(永井啓子)

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