ウクライナのバンクシー壁画、はぎ取られる 複数の容疑者を拘束
ロシアが侵攻を続けるウクライナで2日、謎の覆面芸術家バンクシーの手がけた壁画がはぎ取られる事件があった。ウクライナメディアや地元当局者の証言によると、容疑者らはその場で拘束され、刑事手続きが進んでいる。「売って軍に寄付しようと思った」と話しているという。
事件が起きたのは首都キーウ近郊ホストメリ。ロシア軍との戦闘で破壊されたとみられる建物の壁に描かれていた、ガスマスクをつけ、消火器を手にした女性とみられる絵がはぎ取られたという。バンクシーは11月中旬、インスタグラムにこの作品を投稿していた。
朝日新聞記者が現地時間2日午後4時ごろに現場を訪れると、はぎ取られた壁画が、梱包(こんぽう)された状態で近くの地面に置かれていた。その後、警察官らが現場を調べ、壁画を車にのせて運んでいった。
ウクライナメディアの報道や、地元自治体の広報担当者のオレクサンドラ・コンドラチュクさんが朝日新聞の取材に語った内容を総合すると、容疑者はウクライナ人の男女複数人。壁画をはぎ取っていたところを近隣住民に通報され、駆けつけた当局者らにその場で取り押さえられたという。
容疑者らは犯行の動機について、「壁画は誰のものでもないと思った。オークションにかけて、売り上げをウクライナ軍に寄付するつもりだった」と話したという。事件を目撃したというセルヒー・ジュクさん(35)は取材に「私はバンクシーのファンなので、大変嘆かわしい。居合わせた住民もみな怒っていた」と述べた。
バンクシーは11月中旬、ホストメリやボロジャンカなどで制作した計7作品を、自身のインスタグラムに投稿していた。(ホストメリ=根本晃)
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