車いすの女性、「第九」が支え続けた 歌声がいざなう自由な世界

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渡部耕平
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 年末の風物詩、ベートーベンの「第九」の合唱。その輪に小学生のころから16年間、車いすで参加し続けた女性がいる。歌っている間は、日々の暮らしの中で感じるつらさやもどかしさを忘れられる。コロナ禍で中止になったこの2年間の思いも込め、生きる喜びを歌い上げる。

 青森市に住む蒔苗紬(まかなえつむぎ)さん(30)は、早産のため脳性まひになり、動かせるのは左手だけだ。幼いころから歌うことが大好きだったが、音楽の教室に通うのは難しかったため、小学3年のときに自宅で歌のレッスンを受け始めた。

 青森市では毎年12月、地元の合唱団やオーケストラが力を合わせ、ベートーベンの交響曲第9番の演奏会を開いてきた。蒔苗さんは小学6年のとき、歌の先生の勧めで初めて参加。歌詞はドイツ語で発音も難しいが、本番では暗譜して歌い上げた。

 中学では合唱部に入り、コンクールの県大会に出場。ピアノの練習にも励んできた。青森第一高等養護学校を出たあとは、就労支援事業所で働きながら、8年かけて通信制放送大学を卒業した。

 その間も毎年演奏会に参加し、年末に「歓喜の歌」を歌うことを大きな励みにしてきた。「歌い終わったときの達成感と、拍手をもらったときのうれしさ。社会参加の機会がなかなかないので、いろいろなみなさんと触れ合えることがとても楽しいのです」

 第九の中でも特に思いを込めて歌う部分がある。

 一つは、楽園を意味する「エ…

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