医療機関へのサイバー攻撃、再び活発化か 1年前の教訓どう生きた
編集委員・須藤龍也 南島信也
身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウェア」を使った医療機関へのサイバー攻撃が、再び活発化する兆しをみせている。徳島県の町立病院が約2カ月にわたって機能停止に追い込まれた問題から1年。教訓は生かされているのか。
「病院が記憶喪失になった」。サイバー攻撃で機能が一部停止している大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)で1日、被害に直面した医師が報道陣の取材にこう語った。
職員がサーバーの異常に気づいたのは10月31日の早朝。病院と患者をつなぐ電子カルテがランサムウェアによって破壊され、患者の基本的な個人情報や病状、診察の予約日、処方薬など、あらゆる情報にアクセスできなくなった。
地域医療の拠点だった865床の総合病院で、緊急をのぞく手術や一般の外来診療が止まった。
暗号資産のビットコインの支払いを求める文言が残され、サイバー犯罪集団「フォボス」による攻撃とみられている。センターは電子カルテのバックアップなどをもとに診療を徐々に再開させているが、完全復旧は年明けになる見通しだ。
同時期に別の病院でも 識者「偶然と言い難い」
実は同じころ、東京都内の大…