「自分はワールドカップ(W杯)で点を取ると言っていたので、必然といえば必然。偶然といえば偶然」
1日(日本時間2日)のW杯カタール大会1次リーグのスペイン戦。
日本を決勝トーナメントに導く劇的な決勝ゴールを挙げたのは、たくましくなった24歳だった。
試合後の取材エリア。
MF田中碧(あお)(デュッセルドルフ)は、少しだけおどけた。
「自分はもっていると思っているので。そうやって、のし上がってきた部分もあるので」
2018年、川崎フロンターレでJ1リーグ初出場を果たした試合で、いきなり初ゴール。W杯アジア最終予選でも、初めてピッチに立った試合で得点を決めた。
そして、スペイン戦。MF三笘薫(ブライトン)がゴールライン際のぎりぎりから折り返したボールを、右ひざで押し込んだ。
ただ、試合後の取材中、おどけた時間は一瞬だった。
「今日だけは喜びたいなと思うけど、もっと自分がやらないといけないことが見えた」
そもそも、プロになれるかどうか、当落線上だった。
突出した身体能力や高い技術があるわけではない。
だから、自分で自分を追い立てて、成長させてきた。
22年6月のブラジルとの国際親善試合。
ネイマールらを擁するチームに0―1で敗れた。スコア以上の実力差だった。
でも、一夜明けると、田中は言った。
「サッカーをやり続けていく…