松野博一官房長官は3、4両日沖縄県を訪れ、那覇市長ら3市長と会談した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設計画で岸田政権と玉城デニー県政との対立が続く中、基地問題に関わりの深い市トップと関係を強める狙いだ。玉城氏との会談はなく、移設に反対する「オール沖縄」勢力は政権の動きに警戒感をにじませる。
松野氏は3日、那覇市の知念覚(さとる)市長と市役所で会談。10月23日投開票の市長選で初当選した知念氏との初顔合わせで、松野氏は基地問題に触れ、「地元に与える影響を最小限にとどめるようしっかりと取り組んでいく」と語った。知念氏は市の重要政策実現のための財政支援などを求め、会談後、「政府とは良好な関係を築いていきたい」と語った。
翌4日には、浦添市の松本哲治、宜野湾市の松川正則両市長ともそれぞれ会談。松野氏は「普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現すべく、移設に向けた工事を着実に進めていく」と呼びかけた。
基地負担軽減担当相を兼ねる松野氏が沖縄訪問で力を込めたのは、米軍那覇軍港(約56ヘクタール)の移設計画のアピールだ。
国と県、那覇市と移設先の浦添市は10月、代替施設の形状案や位置について合意し、計画は前に動き出した。地元では、移設後の跡地利用による経済振興に期待が高まっており、松野氏は、基地問題で数少ない好材料の軍港移設を後押しし、基地負担軽減への政権の姿勢をアピールしたい考えだ。
一方の知念氏は10月の市長…