「日本一のミカン」めざし半世紀 発想の大転換で「半樹摘果」に成功
松原央
東紀州地域で「日本一おいしいミカン」をめざし、半世紀以上にわたり栽培に取り組んできた三重県熊野市の「MAKOTO農園」。収穫の最盛期を迎えた畑では、長年の試行錯誤が生んだ少し変わった風景が目を引いている。
農園の顧問を務める大西誠さん(86)は約70年前、中学卒業と同時に家業の農家を継ぎ、約10年かけてコメや麦から温州ミカンへの転作に成功した。今年7月、農園の社長を後進に譲って第一線を退いたが、今でも毎朝のように畑に出て、自分の目で生育状況を確かめている。
熊野市と御浜町にまたがる計4・2ヘクタールの畑では11月下旬、整然と並んだミカンの木に、鮮やかな黄に色づいたこぶし大の早生(わせ)品種が鈴なりになっていた。
だがよく見ると、びっしりと実がついているのは木の半面のみ。反対側には青々とした葉しかついていない。1本1本の木が、まるで日なたと日陰のようなコントラストを見せる。
これは、大西さんが約20年…