地域新電力、8割以上が新規契約など停止 仕入れ価格高騰で苦境

水戸部六美 編集委員・石井徹
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 エネルギーの地産地消などをうたって立ち上げられた「地域新電力」が、苦境に陥っている。朝日新聞などが調査したところ、回答した72社のうち、9割近くが経営に影響があるとし、8割以上は新規の契約などを停止していた。

 自前の電源の割合が低く、電力の調達を卸市場に頼るが、電力価格高騰で仕入れ価格が販売価格を上回る「逆ざや」が起きている。事業の停止や撤退も懸念され、地域振興や自治体の脱炭素化への取り組みに逆風となる。

 2016年の電力小売り全面自由化以降、地域振興や脱炭素化の担い手として各地で地域新電力が生まれた。最近の電力価格高騰の影響を探ろうと、今年8~10月、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組む環境NGOでつくる「パワーシフト・キャンペーン」と朝日新聞が調査を実施。自治体が出資したり、自治体と協定を結んだりした89社に質問し、72社から回答(回答率81%)を得た。

 地域新電力は、ほかの新電力と同じで自前の電源の割合は少なく、不足分を卸電力市場から調達している。地元で作った再エネ電気があっても、電力固定価格買い取り(FIT)制度で市場に売る契約が残っており、市場価格で買い戻している。ただ、ここ数年の電力価格高騰で、仕入れ価格が販売価格の10倍になることもあった。

 市場価格の高騰が続くことについて、「甚大な影響で経営継続に影響を与えうる」(18社)、「影響があるが、経営は継続の方向」(44社)と答えた。

 仕入れ価格が高騰しても販売価格は容易に上げられず、売れば売るほど赤字になる。対策として8割が「新規の受け付け・営業を停止」しており、7割が「料金の値上げを実施または検討」していた。

 また市場への依存度を下げるため、自前の発電所を建設したり、市場連動ではない再エネ調達を増やしたりするのが7割、高騰する時間帯の調達を減らす「蓄電池導入」などにも4割近くが取り組んでいた。

 地域新電力の苦境は、自治体の脱炭素の取り組みにも影を落とす。

 自治体の気候変動政策への影響について、約6割が「大いにマイナス」「ややマイナス」と答えた。「地域新電力を使った地域課題解決モデルが破綻(はたん)する」(三河の山里コミュニティパワー、愛知県豊田市)「電力調達コストの増加が自治体の財政を圧迫する」(能勢・豊能まちづくり、大阪府能勢町)などの声があった。

 報告書はパワーシフト・キャンペーンのサイト(https://power-shift.org/jichitai-chiiki-2022report/別ウインドウで開きます)から見られる。(水戸部六美 編集委員・石井徹

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