バリウムみたいと言われても 超濃厚飲むヨーグルト、貫いたこだわり
長橋亮文
飲むタイプのヨーグルトなのに、やたらねっとりと濃厚。それでいて、さわやかな清涼感のある味わい。地方の小さな会社が手がける「ヤスダヨーグルト」は、強気の値段設定ながら、大手がしのぎを削る市場で独特の存在感を放っている。その原点には、酪農家たちの生乳へのこだわりがあった。
1907年、米国で買い付けてきた乳牛から新潟の酪農は始まったといわれる。その発祥の地、旧安田町(現・新潟県阿賀野市)でヤスダヨーグルトは生まれた。
誕生のきっかけは、牛乳が売れなくなったことだった。需要を供給が上回り、乳価は低迷。75年ごろ生産調整が始まり、せっかく絞った生乳を捨てざるを得なくなった。
そんな状況に、9人の酪農家が立ち上がった。生乳を無駄にしまいと、バターやチーズにすることを検討。でも、加工の過程で脱脂乳やホエイ(乳清)が出てしまう。行き着いたのがヨーグルトだった。87年に「安田牛乳加工処理組合」を設立して販売を開始。89年、商品名と同名の有限会社に組合を改組した。
開発にあたっては、「二十世紀梨」の糖度を参考に、甘さとさわやかな酸味をつくり出した。コクを強くするため生乳をふんだんに使い、ストローがなければ飲むのが難しいほどのねっとり感が生まれた。
発売当時はスプーンで食べる…