中国で1週間前に広がった抗議デモは、政府を「ゼロコロナ」政策の緩和に向かわせたが、現場では混乱が続いている。明確な出口戦略を欠いた場当たり的な対応に、市民は振り回されている。当局は厳戒態勢でデモの再燃を防ぐ構えだが、市民の不安と不満は消えていない。(北京=西山明宏 広州=奥寺淳)
緩和の混乱を象徴するのが、PCR検査だ。
3日午後3時、北京市中心部の繁華街・三里屯には400メートルを超える行列ができた。気温は1度。吹きつける強い風に身をこわばらせながら人々がPCR検査の順番を待っていた。その数ざっと200人余り。1時間以上待つ状態になり、あきらめて離脱する人もいた。
最後尾に並んでいた男性は「検査しないと、どこも行けなくなるだろうから」とため息をつき、「検査場が閉まるまでに間に合うかな」と不安そうに話した。
北京では2日以降、市内に1万カ所前後あった無料PCR検査場が軒並み閉鎖され、残った検査場に市民が集中。酷寒のなか、各地で長蛇の列ができた。
同様の現象は各地で起きている模様で、山東省威海市で雪のなか、住民が数百メートルの行列をつくる写真などもネットで拡散している。
緩和されても「職場は検査結果を出せと言っている」
中国ではPCR検査による1…
- 【視点】
中国で「ゼロ」から「ウイズ」へ向かう混乱が起きています。中国政府が「ゼロ」を解かなかった(解けなかった)理由は複合的だったと思います。コロナ対策に勝利した中国の物語が行き詰まるからです。①ウイズにして感染が広がった場合、医療システムが整備さ

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