「園児虐待を隠蔽」裾野市が園長を刑事告発 発表遅れで市長ら処分へ

菅尾保
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 静岡県裾野市の私立の認可保育園「さくら保育園」で、1歳児クラスを受け持っていた女性保育士3人=いずれも退職=が園児の頭を殴るなどしていたとして暴行容疑で逮捕された事件で、市は5日、桜井利彦園長を犯人隠避の疑いで静岡県警裾野署に刑事告発した。この日会見した村田悠(はるかぜ)市長は、園の対応を批判するとともに、市側の公表の遅れについても改めて謝罪した。

 市によると、園は10月下旬、ほぼすべての保育士を対象に、業務中に知り得た園児や園内関係者に関する情報を第三者に漏らさないように求める誓約書を取った。桜井園長宛てで、市は「園長は虐待を知りながら、事実を隠蔽(いんぺい)し、3人を隠避しようとした」としている。一方、園側は「守秘義務を守るための一般的なもの」と説明している。

 市によると、園児への暴行について、関係者から園長に情報が伝わったのは、6月か7月だった。ただ園はこの時は「事実を把握できなかった」と説明。情報提供が市にあり、園に説明を求めた8月下旬まで3人の保育士を自宅待機とするなどの対応をとらなかった。村田市長は「問題が深刻化し、保護者や社会に対する説明が著しく遅れた背景に、園の対応のまずさがあった」と指摘した。

 一方で村田市長は、市の不適切な対応も認めた。8月25日に園から報告書の提出を受けていたにもかかわらず、11月末まで事案を公表しなかった。担当の健康福祉部長を更迭したうえで、担当課長とともに懲戒処分にする。市長が2カ月、副市長が1カ月分の給与を受け取らないという。

 市は調査報告書を受け取った後、園や情報提供者と何度か面談したものの、9月下旬以降、2カ月にわたって具体的な行動をとらなかった。担当部局から市長、副市長への報告も記者会見直前の11月28日だった。村田市長は「園側に保護者説明会の開催を求め、園側の判断を待っていた。もっと強く説明会の開催を求めるべきだった」と話した。

 さくら保育園は報道機関に対し、「多大なるご心配とご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。これらの事態を厳粛に受け止めており、当局の捜査に全面的に協力してまいります。園児・保護者のために一日でも早く正常な保育環境を整えます」とのコメントを出した。記者会見は開かないという。理事長と園長の交代を予定していることも明らかにした。(菅尾保)

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    木村裕明
    (朝日新聞編集委員=企業、経済、働き方)
    2022年12月5日16時32分 投稿
    【視点】

     園長の刑事告発を決めた裾野市長の判断を支持する。抵抗もできない幼児への虐待を内部告発しようとした保育士に土下座までして口外させたくなかったことが、「守秘義務を守るための一般的なもの」であるはずがない。報告が遅れた市職員の懲戒処分も当然だ。