「夢は高校生棋士」堺の中学生が奨励会に合格 師匠は冨田誠也四段
井石栄司
中学1年生の寺下絆南(きずな)さん(13)が将棋を始めたのは、5歳のときだった。祖父に手ほどきを受けたのがきっかけで、地元・堺市の将棋教室に通い始めた。
勝ったり負けたり。
それが面白く、どんどん将棋にはまっていった。
めきめきと腕を上げ、小学3年生でプロ棋士養成機関「奨励会」をめざす子が集う「研修会」に入った。
場所は、大阪市福島区の関西将棋会館。会館近くにある小林健二九段の教室にも通うようになった。
「弟子にしたい」「弟子になりたい」
そこで知り合ったのが、小林九段の門下で、当時はまだ奨励会員だった冨田誠也四段(26)だった。
冨田四段は当時のことをよく覚えている。「自分が気がつかない手を指すので、低学年ながらセンスのある子だと思った」
棋士になったら彼を弟子にしたい、とも思った。
一方の寺下さん。「将来は弟子になりたい」と、冨田四段を慕っていた。
5年生のとき、寺下さんはスランプに陥り、一時将棋から遠ざかった。
「将棋を義務としてやるとし…