今季話題のテレビドラマ「silent」や「エルピス」(ともにフジ系)には、ファミリーレストランが物語を進める舞台として登場する。ドラマや映画の場面がファミレスで進行するのは今に始まったことではないが、これを機に改めて考えてみると――。
「silent」ではカップルが語らい、ときにパソコンも開く。「エルピス」ではテレビ局の先輩アナウンサーが落ち込む後輩ディレクターを褒める。こんな風にファミレスで展開する場面が、ネットなどで話題となっている。
では、その「空間」の特性は何だろう。機能的で広々とした店内は基本的にモダニズム建築の均質空間といえる。建築家の藤村龍至・東京芸術大准教授は、「ベンチ状の席がある小空間は個室のような独立性がありつつ、立ち上がると店内の端まで視線が届くワンルーム。空間が二重構成になっている」と指摘する。ゆっくりと会話が楽しめる一方、ざわめきもある。
「エルピス」では後輩が他の客が注文した雑炊を見てオーダーするシーンがあるが、これも視線が届くがゆえ。ガラス張りの店舗が多く、外で手を振る人が認識できるなど、外部空間にも開かれている。
さらに、大都市にも地方にも…