名古屋城天守木造化、市がエレベーター設置方針 「不十分」の指摘も
名古屋市が進める名古屋城天守木造化で、市は小型エレベーター(EV)の設置をめざす方針を決め、5日公表した。市はEV設置方針を盛り込んだ「全体計画」を今年度中にまとめ、文化庁に解体・復元の許可を求めていく考えだ。一方、障害者団体からはバリアフリー化が不十分との指摘が出ている。
市は今年4月、新天守をバリアフリー化する技術公募を開始し、この日の市議会経済水道委員会で審査結果を示した。市によると、公募には9社が応じ、最終的に残った4社から三菱重工グループのMHIエアロスペースプロダクション(名古屋市)が提案した垂直昇降機を、有識者でつくる評価員が最優秀とした。同社は航空機関連の製造物流などを手がけており、搭乗機材の技術を応用してEVを開発するとの内容が「実現性がある」と評価された。
市は「史実に忠実な復元」をめざしており、新天守の主構造となる柱や梁(はり)を傷めないことなどを応募の条件としていた。最優秀案のEVは柱や梁の間に収まるよう、最大4人乗りのサイズに小型化。車いすの人が使う場合、介助者との計2人が一度に乗ることができるという。
EV不設置表明に障害者団体など反発
EVは1階ごとに設ける方針…
- 【視点】
名古屋城の天守は、徳川家康の命で1612年に建てられました。300年以上その姿をとどめてきましたが、太平洋戦争末期の空襲で焼け落ちました。戦後、市民の寄付などによってコンクリート製で再建され、屋内外に計3基のエレベーターが取り付けられました