大学はぜいたく品か やっと手に入れた「普通」奪われた男性の思い
聞き手・石川友恵
生活保護をうけながら大学に進学することを認めない国のルールが変えられないまま維持されることになった。これまで見直しを求めて署名活動などを続けてきたNPO法人「虐待どっとネット」代表理事の中村舞斗さん(33)=大阪市=は「なぜダメなのか」と憤る。中村さんは祖母からの暴力や母からのネグレクト(育児放棄)といった虐待を乗り越え、大学に進学。在学中、生活に困って生活保護を申請すると「大学はぜいたく品」と断られた経験をもつ。今回の国の動きに対する見方を聞いた。
――看護大2年のときに、生活保護を申請しようとしたら休学か退学を迫られたそうですね。
「20歳で通信制高校を卒業し、2年ほど病院で働いてためたお金で看護大に進学しました。ところが小児や母性の授業をうけると、虐待のフラッシュバックから体調が悪くなり、アルバイトができなくなりました。そこで生活保護の申請をすると『大学はぜいたく品』といわれました。保護をうけるには休学か退学しなければいけない。そこからは記憶がありません。命を絶とうとして運ばれていました。結局大学は辞めることになりました」
――辞めることになったとき、どんな思いでしたか。
なぜ少ないほうに合わせて「バランス」をとるのか?
「大学入学は、やっと自分の…