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避難所でも気をつけたい「エコノミークラス症候群」 足の体操で予防

小原智恵
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 エコノミークラス症候群(肺塞栓(そくせん)症)は、命にかかわる怖い病気です。避難所生活で発症することもあります。日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院の救命救急センター長・稲田真治医師(57)に、注意点や予防法を聞きました。

 ――どのような疾患ですか。

 飛行機の乗客が長時間、同じ姿勢で座っていることで起きやすい疾患です。ファーストクラスでも起こりうるので、「ロングフライト症候群」「トラベラーズ血栓症」などとも呼ばれます。

 原因は、もともと血流が緩い静脈で血液が滞って血の塊(血栓)ができてしまうことです。深部静脈血栓症と言います。むくんで、それだけでもつらいのですが、その血の塊がぽろっと何かの拍子に動いて、心臓を通って肺動脈に詰まってしまうのが急性肺塞栓(そくせん)症で、最悪の場合、死亡することがあります。

 ――血の塊ができないようにするには。

 体を動かすことと、水分を取ることです。血液が濃くなってしまったり、血が固まりやすくなる薬を飲んでいたりするとリスクは高まります。飛行機の中は乾燥しているので脱水症状になりやすいのです。血の塊は9割方、足でできるので、「足を動かす運動をしましょう」と呼びかけています。

 ――災害時も注意が必要なのですか。

 04年10月の新潟県中越地震で最初に注目されたように思います。避難所で生活していると、同じ体勢で動かない時間が長くなります。また、お年を召した方に多いのですが、トイレが屋外だったり、汚れていたりすると、水分を控えてトイレを行く回数を減らそうとしますので、脱水症状になりやすいのです。それがエコノミークラス症候群の危険を高めます。狭い空間で寝泊まりする車中泊では危険が高まります。

 災害に限らず、医療現場、特に外科手術ストレスや術後の入院生活などで起こりやすいと注目されました。04年に手術前後の周術期の肺塞栓症予防についての国内ガイドラインができ、予防の大切さが認識されました。

 熊本地震では、発生直後から1週間程度は発症してしまう人がいました。啓発活動がされ始めた後はぐっと減りました。検査技師らのチームが超音波検査ができる機器を使い、足に血栓がないかを調べたり、日本赤十字社(日赤)が医療用のストッキングを避難所で配布したりしました。医療用ストッキングは圧迫して血液を流しやすくするのですが、正しく着用しないと皮膚の床ずれを起こしかねないので、専門家による指導を受けてください。日赤と国は19年4月、災害時に避難所の生活環境の整備をするなどの協定を結んでいます。

 ――個人ではどんな備えをすればいいでしょう。

 生活環境の変化は、エコノミークラス症候群だけでなく、心臓病や感染症など、さまざまな病気のリスクを高めることがわかっています。災害に対しては、まずは自分の命を守る備えをしてください。

 寝室に大きな家具を置かない。倒れないように家具を固定する。食料や飲料を数日分は備蓄する。ハザードマップや避難場所を確認しておく。避難することが逆に危険なこともあるので、状況をよく判断する。地味ですが、大切なことです。(聞き手・小原智恵

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