アフリカ北東部が過去40年で最悪の干ばつに襲われ、子どもを中心に多くの犠牲者が出ています。11月に開かれた国連の気候変動会議(COP27)では、地球温暖化がもたらした「損失と被害」を受けた途上国を支援する基金の創設で合意したばかりです。現在、特に深刻な被害が起きているソマリアでは、数年おきに繰り返し干ばつが起きていますが、根本的な解決策はあるのでしょうか。国連事務総長特別副代表で、ソマリアの常駐・人道調整官を務めるアダム・アブデルムーラ氏に、首都モガディシオで聞きました。
【連載】枯れるアフリカ 気候危機の「犠牲者」
アフリカ北東部が、気候変動の影響とみられる深刻な干ばつに襲われています。気候危機の最前線で何が起きているのでしょうか。ソマリアとケニアの現状を報告する連載の最終回です。
――ソマリアの干ばつはどれほど大変な状況なのでしょうか。
2011年、16年にも干ばつは起きましたが、これは(1年に2度ある)雨期が3期連続で少雨だったことによって起きました。しかし私たちはいま、5期連続で雨期が少雨になろうとするまっただ中にいるのです。さらに悪いことに、予測では来年の雨期を含めて6期連続の少雨すら示されています。これほどの災害はありません。
ソマリアでは780万人が干ばつの影響を受けていて、食料支援を必要とする人は670万人に上ります。昨年1月から新たに130万人が自宅を追われ、計380万人が避難生活を送っています。これは、多くの人が生活の基盤としている家畜300万頭が死んだことなどによります。
栄養失調に苦しんでいる5歳以下の子どもは180万人に上ります。人道支援の規模を拡大しない限り、多くの命が失われる可能性があるのです。
繰り返し干ばつが起きているソマリア。後半では、日本ができることについても聞いています。
――直近の課題はなんでしょうか。
資金調達です。必要な支援を…