世界が脱炭素へとかじをきる中、セラミックス製品大手の日本ガイシ(名古屋市)が、自動車部品依存からの脱却に挑んでいます。ただ、小林茂社長は、未来の車は電気自動車(EV)だけにはならないと言い切ります。では、普及が期待されるのはどんな車なのでしょうか。
――セラミックス製の自動車向け排ガス浄化製品が主力です。
「売上高の4割を占めています。自動車関連事業は売上高の6割、利益の7割以上です。今後、新興国を中心に自動車市場は拡大し、排ガス規制の強化で我々の排ガス浄化セラミックスの需要も伸びていきます。ただ車の電動化が進み、自動車関連の売り上げは2030年をピークに減っていくとみています」
「2050年に、自動車関連の売り上げがゼロになったとしても、脱炭素や半導体、情報通信関連といったデジタル分野で売り上げの8割を稼げる会社を目指しています。排ガス浄化向けの技術を使い、大気中から直接、二酸化炭素を回収して浄化する装置部品を開発しています。自動車部品の製造で世界9カ国に12工場があるので、その拠点を活用することができると考えています。ただ、会社を支える事業になるのは2030年を過ぎないと無理でしょうね」
――二酸化炭素を回収する装置は、日本の大手メーカーも開発を進めています。
「我々の製品を彼らのシステムの中に入れてもらうと、大きな設備だったものを小さくできるメリットがあります。そうすると、システム自体のコスト競争力が高まると言われています。我々が(システムの)全部をできるとは思っていません」
「二酸化炭素以外にも、メタンや窒素を分離できる膜の技術も持っています。どれが将来、勝つかはわからないし、日本がこの分野で勝つとも限らないので、米国や欧州の会社とも協業しながら、全方位でやりたい」
セラミックス企業の生き残り策
――自動車に頼らない会社にできますか。
「あまり悲観はしていません…