今年最もブレークした落語家、桂二葉さん ひと味違う輝きの秘密は

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篠塚健一
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 2022年最もブレークした落語家といえば、彼女だろう。桂二葉(によう)さん、36歳。昨秋に若手の登竜門であるNHK新人落語大賞を受賞したのをきっかけに、地元関西だけでなく、東京をはじめ全国各地へ。ひと味違う輝きを放つ秘密はどこに?

 「もうチャレンジっていうよりね、本当にもう勝つ気で!」

 10月、東京・有楽町朝日ホールで大人気の先輩、春風亭一之輔さんに挑んだ落語会「桂二葉チャレンジ!」の高座で、そう言い切った。約700人の観客がドッと沸くと、「思ってるだけですよ」と可愛げを見せる。重鎮が磨き上げた芸を見せる朝日名人会などが開かれるホールで、芸歴11年の若手女性落語家が主役となる公演は異例のこと。鞍馬山の天狗(てんぐ)を捕まえて、すき焼きにしようとする“アホ”が主人公の「天狗さし」、桶屋(おけや)の息子が奉行をやり込める「佐々木裁き」を堂々と演じきった。

 「自分の会としては一番大きな会場。めちゃくちゃ燃えました。気合十分、でも落ち着いてやれたと思います」と、明るく振り返る。落語では持ち前の高い声が大阪弁のハチャメチャな主人公にピッタリはまるかと思えば、突っ込み役の声はぐっと落ち着いて、その高低差で明快に人物を演じ分ける。背筋の伸びた姿勢の良さ、マッシュルームのような髪形がトレードマーク。どこかアニメのキャラクターのようなたたずまいでとびきりの個性を放つ。

 そんな素質が開花するまでには挫折があった。女性初の大賞を目標に挑み続けていたNHK新人落語大賞。20年に初めて予選を突破したが、本選は惨敗に終わった。「舞台袖にあったトロフィーとか、賞金のことが気になって……。ホンマに情けない出来やった」。大舞台での悔しさを糧に、気持ちを強く振り切ることを意識するようになった。「もう一位か、ビリか、どっちかや」。翌年は審査員全員から満点の評価を受けて、リベンジを果たした。

 大阪出身。明るさの固まりのように見えるが、中学生のころは自分の殻に閉じこもるような生活を送っていたという。「勉強できひん。しゃべられへん。もう嫌で、嫌で。学校に行かなくなった時期もありました。もうどうしていいのか、自分でもわからへんかった」

 現実逃避の毎日。心の中でひそかに憧れていた存在があった。誰に何を言われるかなんて気にすることなく、アホなことをできる人たち。たまたまテレビ番組で夢中になった笑福亭鶴瓶さんの追っかけをして落語会に足しげく通うようになり、落語の世界にはそんな人物がたくさんいることに気づいた。

 「正々堂々、アホなことが出来る」。2011年に桂米二さんに弟子入り。ネタを覚えるのは人並み外れて遅いが、自分のものにして高座にかければ独特のおかしみを放つ。

桂二葉のおしゃべりバンザイ【配信12月11日(日)午後2時~】

NHK新人落語大賞に輝き、ブレークした落語家・桂二葉さんの魅力に迫ります。二葉さんの落語とトークをお届けします。12月31日までご覧頂けます。お申し込みはこちらから(https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11009301別ウインドウで開きます)。

 そんな二葉さんを通して落語…

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